韓国でアカペラ活動をやってましたという話
優しさが顔に滲み出ているブラザーさん、素敵な記事をありがとうございました❗️
自称「窓の満月・ファンクラブ会長」の私としては、窓まんのアレンジを手掛けているブラザーさんのアレンジに対する考えを聞けて本当に感激です。是非、アレンジャーのみでなく、たくさんの方に読んでほしい良文です。
さて、アカペラアドベントカレンダーでは、他にもたくさんのライターの記事を読むことができます。様々な分野で活躍する方々の知識と経験を知ることができる、こんな素晴らしい企画を考えてくださった「ACAPPELLER.JP」と「アレンジャーの会」の皆さんには大変感謝しております。カムサハムニダ。
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この記事は、「アカペラアドベントカレンダー2019」の7日目の記事です。
◆アカペラアドベントカレンダー2019URL
皆さまこんにちは、アンニョンハセヨ。
本日は、私が韓国でのアカペラ活動を通じて経験したことや思ったことについてお話ししたいと思います。単なる体験談を書いただけで、稚拙な文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
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自己紹介
アカペラアドベントカレンダーを通して、私のブログに遊びにきてくださった方もいらっしゃるかとは思いますので、まずは簡単に私の自己紹介をさせていただきたいと思います。
-33歳
-Vocal Asia日本支部副代表(https://www.vocalasia.com)
-現在バンド無し(どなたか一緒に歌いましょう)
-社会福祉士
-ムーミン大好き(アカペラ界一のムーミン好きと自負しています)
-ヘパリーゼ飲みそうなヤツは大体友達(アカペラとは関係ない)
そもそも何で韓国に行ったの?
もともとKーPOPが大好きで、いつかは韓国で勉強したいと思っていました。また、韓国人の女の子を好きになったのも一つの理由です。(好きになった動機は決して不純なものではありません)
韓国でアカペラサークルにはどうやって入ったの?
私が通っていた大学に、アカペラ好きな韓国人留学生♀がいました。そして、私が韓国に留学した時にその子と再会し、韓国でもアカペラを歌ってみたいと相談したところ社会人サークルを紹介してもらいました。
私が所属していたのはMONOというサークルで、下は小学生から上は5,60歳の方までと年齢層も幅広かったです。全体練習は毎週土曜日の夕方に行われ、練習後はみんなで韓国料理を食べに行ったりしてました。
*MONOは韓国語で모노と表記し、「みんなで一緒に歌おう!」の略語となっています。
韓国でアカペラを歌ってみて
みんな日本のアカペラに詳しい!
MONOには私以外にも台湾から来た留学生がいて、互いの国のアカぺラ事情についてよく語り合ってました。
当時はそれほどYouTubeやSNSが流行っていない時代でしたが、彼らは日本のアカペラについて膨大な情報量を持っており、ただ驚くばかりでした。
そんな彼らとの会話では「RAGFAIR」や「ゴスペラーズ」、「TRY-TONE」の話題がよく出てきました。中には北村嘉一郎氏や犬飼将博氏についてまで知っている猛者もいてビックリしました(笑)彼らが韓国語で「マジカル恋のパワー」や「アカペラでゆこう」を歌った時の感動は今でも鮮明に覚えています。サウナで真っ裸で「ひとり」をハモったことも良き思い出です。
打ち上げがカオス過ぎた!
日本でもライブ後に打ち上げを行うかと思いますが、韓国での打ち上げはとにかくカオス過ぎました!(笑)
もちろん韓国でも居酒屋で打ち上げをしますが、ほとんどは車やバスで郊外にある貸切ペンションに行き、そこで明け方まで飲み明かしていました。ちょっとしたレクリエーションやボイパ対決をしたりして、毎回盛り上がってました。
ちなみに韓国では、「アカバル」と言って乾杯します。アカバルとは「アカペラ パルチョンゥル ウィハヨ(アカペラ発展のために)」という意味なのですが、このように共通の言葉があるのは面白いなぁと思いました。
(こんなにお酒がぎっしり詰まった冷蔵庫が部屋に何台もありました...苦笑 カオスオブカオスです)
(飲み足りない場合は、別室のベット上にバスタオルを敷き、そこで乾杯...シーツが汚れるとか、そんなのみんな気にしません エンドレスオブカオス)
(韓国焼酎の瓶に金属製のスプーンを入れ、マイク代りにして歌い出すことも...みんな本当に歌が上手)
打ち上げについてメンバーに話を聞いたところ、アカペラに限らず韓国ではこういった飲み会を重要と考えているようです(もちろん飲み会に参加するのは強制的ではありませんが)。
美味しいおつまみにお酒を楽しみながら、仕事の話や家族の話、そしてアカペラの話などをして、メンバー同士の交流を深め合い、より良い音楽を作っていこうという想いが込められているようです。MONOは色んな年代の方が集まるサークルでしたので、様々な価値観にも触れることができて楽しかったです。
共通の楽譜集があった!
サークル員の年齢・レベルが様々だったため、楽譜集が用意されていました。楽譜集には例えば「Java Jive」や「In the still of the night」、「アカペラでゆこう」などが収録されていました。楽譜集の制作には、プロの方々も有志で参加していました。
練習に参加するサークル員のレベルに合わせて練習曲も変わるので、初参加の方たちでも負担を感じることなく楽しく歌えました。また、楽譜集に収録されている曲を覚えることで、例えばアカペライベントで初めて会った人同士で演奏して交流を深める機会も多かったように思えます。ほら、日本でいう「終わらない世界」みたいな感じです。
アカペラ教育が盛ん!
韓国はとにかくアカペラ教育が盛んでした。多くの小学校では、音楽の授業でアカペラが取り入れられており、音楽教科書にアカペラの記事や楽譜が掲載されていたり、教師たちによるCD製作やコンサートがあったりと、教育分野でのアカペラの普及に力を入れているのが印象的でした。
また現在、ソウルを本部とする韓国アカペラ教育研究会という団体が各地域にあり、定期的に学校の教師が集まって意見交換を行っています。大学ではアカペラ教育について研究する人も多く、これまでにも多くの論文が発表されています。
(韓国アカペラ教育研究会については、また別の機会に詳しく話そうと思います。)
大学サークルが少ない...!
これは日韓のアカペラ事情の違いでもあるのですが、当時韓国の大学にはアカペラサークルがほとんどありませんでした。日本は大学サークルが中心となりアカペラが広がっていった経緯がありますが、一方で韓国は社会人サークルからアカペラが広がっていきました。そして、社会人サークルでこれまで活動してきた若者が、自分たちの通う大学にもアカペラサークルを作ろうと一念発起し、次第に大学サークルもできていきました。
韓国でのアカペラ活動で学んだこと
以上、色々と書き連ねましたが、韓国ではアカペラを通じて本当に貴重な経験をさせていただき、また色々な気づきもありました。それらについて、是非多くの方と共有したいと思い、以下整理してみました。
アカペラ教育
韓国や台湾に比べると、日本のアカペラ教育はまだまだ発展途上国だと思います。一方で、これから日本のアカペラシーンにおいて、アカペラ教育がどのように普及されていくのか楽しみでもあります。
私が思うに、アカペラ教育には音楽的価値と教育的価値の二つの価値があります。アカペラを通じて音楽の三要素(リズム、メロディー、ハーモニー)を学ぶことができ、楽器の役割に対する理解も深めることができます。様々なパートに分かれて歌うことで、曲の全体的な特徴と構造を容易に理解することもできるでしょう。
教育的価値としては、人格形成における効果があると思います。アカペラは能動的に参加しないといけない音楽ですので積極性が高まりますし、違うパートが互いに頼り合うことで社会性や調和性、配慮心などを養うことができます。
ここ最近、いじめや少年犯罪、児童虐待など、心痛めるニュースが後を断ちません。幼い頃からアカペラを始めたとした文化芸術に触れる機会を作り、豊かな心を持つ子どもを育てることで、より平和な社会を築いていけるのだと信じています。
社会的貢献
日本ではアカペラがまだまだ社会的に受け入れられていませんが、韓国ではアカペラによる社会貢献が盛んに行われていました。
例えば、企業の研修にアカペラを取り入れた「企業教育プログラム」、刑務所での「囚人更生プログラム」、軍隊での「軍人教育プログラム」、孤児院などでの「チャリティー活動」など、アカペラを通じて人々がより豊かな心を持てるよう様々な取り組みが行われていました。
日本でもアカペラで社会貢献する機会が増えていけば、よりアカペラの魅力が広まるでしょうし、歌う人も増えてくるのかと思いました。
自己研鑽
母国語でない外国語で相手とコミュニケーションを図ることで、単純に語学力を鍛えることができます。また、自分の気持ちを分かりやすく伝えたり、相手の言っていることを理解しようとする力も自然と身につきます。さらには、異文化交流をすることで様々な価値観に触れることができ、視野も広がります。
ここ最近、海外のグループが日本で公演する機会が増えてきており、一方で日本のグループも海外公演する機会が徐々に増えつつあります。
今後、海外のアカペラシンガーと交流する機会があれば、是非外国語で積極的に会話することを勧めます。きっとこれまでに出逢うことのなかった、新しい世界を見ることができるでしょう。
国際交流
先の自己研鑽と少し被りますが、海外の方と交流する時、まず最初にぶつかる壁が「言葉」だと思います。
ですが、私たちには音楽という素敵なツールがあります。言葉は通じなくても、一緒に音楽を演奏することで国を越えた交流をすることができ、そうして深まる絆は他の何ものにも代えがたいものとなります。
それほど音楽にはそれぞれの想い、癒しの力、人と人とを繋げる力が込められているのです。実に素晴らしい。
共通楽譜集
作りましょう。みんなと歌いたいんですっ...!
さ〜て、次のライターは....2号さん!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。私の話はここまでということで、次回のライターさんを紹介させていただきます。
suisaiのメンバーとしても活躍している2号さんは、「遠隔地でのグループ活動におけるリモート練習法の一形式」をテーマに記事を書かれる予定です。
様々な事情があって、普段なかなか全員揃って練習できないバンドさんもいらっしゃるかとは思います。そんな方々に2号さんの記事は大変参考になるのではないでしょうか。明日、記事が投稿されるのが楽しみです。
アカペラアドベントカレンダー2019では、この後も素敵な記事がどんどん更新されていきます。引続き、お楽しみにくださいませ。それではBye Bye !
*おまけ